雁屋 哲(かりや てつ)さんが語る
自然と人柄が料理に結びつく和歌山の味

雁屋哲さん
PROFILE
1941年中国北京市生まれ。広告代理店「電通」在籍中に漫画原作者としてデビュー。退社後はフリーで活躍。代表作である「美味しんぼ」は1983年に連載を開始、四半世紀にわたり読み継がれている。現在102巻まで刊行。総発行部数1億2000万部。

「美味しんぼ」原作者・雁屋哲さんインタビュー

紀州のうまいもんが国民的グルメ漫画に登場―。「美味しんぼ」(小学館)の原作者・雁屋哲さんが、同作の中で各都道府県の食文化を紹介する「日本全県味巡り」シリーズに、和歌山の郷土料理を取り上げるため来和。食の伝道師が取材を通して知った和歌山の【味】とは何だろう。

地域の味を守る婦人会と歴史を感じる郷土料理

「和歌山は歴史のある土地。海や山などの自然もある。地域によって人柄が違うところも面白い。そういうさまざまな要素が料理に結びついている県だと思います」と語る雁屋さん。

過去にも作品の中で「しょうゆ」や「クジラ」を紹介する際に、和歌山を訪れたことがあるそうだが、今回は郷土料理がテーマ。そこで頼りになったのが和歌山の味を守り続ける各地の婦人会だという。「海草郡やみなべ、串本、那智勝浦などの婦人会を訪ね、伝統料理を取材させてもらいました。これは和歌山に限ったことではないけれど、婦人会は50代から70代ぐらいの方で構成されていることが多い。若いお母さんたちも婦人会にどんどん参加して、伝統の味を守ってほしい」

また地元でもあまり知られていない郷土料理も多く取材したそう。「例えば、旧大塔村で伝わる正月料理の『ぼうり』。サトイモの巨大な親芋を丸ごと料理にしたもので、餅の代わりに600年間食べ続けられたそうです。その理由には大塔宮護良新王(だいとうのみやもりながしんのう)との歴史的背景があるなど、信じられないような面白い話を聞ける和歌山は本当に興味深い」

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「僕は自分で実際に食べて味わって経験したことしか書かない主義です」と雁屋さん

「伝統ある和歌山の味を漫画で表現したい」

今回の取材に費やした期間は10日間。「先行取材を重ねての本取材でしたので、密度の濃い10日間でした。とても面白い漫画になりそうです」と雁屋さん。

各地を巡り、多くの料理と出合ったが、雁屋さんにとって和歌山の味とは? 「その答えは…、ぜひ漫画で語らせてください(笑)。取材を通して感じたことは、和歌山には素晴らしい食があり、伝統がある。自分の郷土の良さ、自分の郷土の伝統の深さを再確認し、守っていただきたいですね」

「美味しんぼ」の「日本全県味巡り 和歌山編」は、週刊誌「ビッグコミックスピリッツ」(小学館)で来年3月から連載される予定。